DNA鑑定の結果。完全なる安心を迎える日は・・・。

 

8月15日に羅臼岳の登山道周辺で3頭のヒグマが捕殺された。
前日の14日に登山者1名が襲われる事故が発生、その事故周辺現場に出没していたヒグマ3頭だ。
登山者を加害下可能性があるということで、道総研がDNA検査を行うことになり、捕殺から4日が経過した19日に結果が出た。

「加害者の身に着けていたものに付着していた体毛と捕殺されたヒグマのDNAが一致」

現時点での報道では、「胃の内容物から確認した」という報道が出ていないので、過度には言及できないが、ヒグマの急襲に遭った登山者に接触した個体であることには間違いないという答えだ。

しかし、「接触した個体である」ということがわかるだけで、必ずしもこの3頭に限った話ではないかもしれない。
ヒグマの密集地帯とも言える知床半島。
その密集度は世界でも有数と言える。

人間という生き物に接触したことのあるヒグマであるのは確かになったが、このほかにも接触しているヒグマがいる可能性を拭えるものではない。
一件落着とするのか。
それとも、まだリスクはあると判断するのか。

一件落着とするには時期尚早にも思える。
というのも、運用にかかるレギュレーションの策定が追い付いていないだろう。

仮に登山道がオープンになったとしても、ヒグマは非常に学習能力の高い生き物として知られている。
ヒグマの世界で、人間という生き物が捕食対象となること、また、人間という生き物が魅力的な食べ物を有しているということを、この命を落とした3頭以外もこの事故から学んでいたらと思うと怖いものである。

変に不安を煽っているのではない。実際に考えられる話しだ。
「この3頭以外可能性はない」と断定できない限り、私なら一般開放の判断を下すことはできない。

この後も、鑑定は続くであろう。
ヒグマの胃の内容物と欠損個所の重さの比較や事故発生原因の特定など。
評価をするのは、すべての調査が終わってから良いと考える。
焦ることでは決してない。

 

人間・ヒグマ双方のいのちを失った事故である。
ただ言えることは、無責任かつ無秩序な発言が生まれないことを望むのみだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です