音によるヒグマの忌避効果は?農地にやって来るヒグマでの実例から見てみる
現在、ノノオトとして札幌市円山動物園で事業を実施中。
※事業詳細はコチラから
そんな事業に合わせて、少しヒグマに関する小話を。
1回目は「音によるヒグマの忌避効果は?農地にやって来るヒグマでの実例から見てみる」です。
音とクマの関係は、展示物でも取り上げており、見られた方の関心も高い状況にあることから選んでみました。
農地には、ヒグマがやって来ることや居着いてしまうことがある。
それは、最近の話ではなく、以前からの話で、珍しい話ではないのです。
農作業をしているとヒグマの食害を発見したそう。
最初は、ヒグマの姿を見せることはなかったそうです。
しかし、数日後農作業をしていていると農地の端に現われたのだとか。
声を出したりすると、藪へ帰って言ったそうなのですが、1週間のうちに何度も現われるようになり、次第に、声をかけたり、車のエンジンをかけていても姿を見せるように。
この時点で、
「農作物<人の気配」というバランスから「農作物>人の気配」というバランスに変わったことが推測できますね。
農作業を止める訳にもいかないので、ヒグマとの事故を嫌いラジオを軽トラの荷台において、腰には鈴を付けていたそうです。
しばらく姿を見せなくなり安心したそうなのですが、また藪と畑の間に出てくるようになったのだとか。
鈴を手に取り、激しく鳴らしてもヒグマは何の反応もなかったそうです。
もちろん他の場所に行って板だけかも知れませんが、
当初は音や気配で姿を見せていなかったものの、関係なしに姿を見せるようになった。
ヒグマにとって「警戒対象であった気配(ラジオの音や鈴の音)が、警戒対象でなくなった」という可能性がうかがえます。
この時点で、地元のハンターに相談をし「一旦、ロケット花火での反応を見てみよう」となったそうです。
実際に2度、ヒグマに向けてロケット花火を飛ばしたそうなのですが、破裂音が鳴った直後はその場を離れるそうですが、すぐに戻り畑の様子を伺うそうです。
夜間のうちに農作物は食害に遭うという流れは変わらず、畑よりも藪の方に箱罠(中には食害に遭っていた農作物を設置)を設置すると、その翌日には、箱罠にヒグマが入っていたそうです。
こういった事例は、北海道であれば珍しくはありません。
でも、徐々に変わっていくヒグマの変化というものを感じますよね。
タイトルでは「音によるヒグマの忌避効果は?農地にやって来るヒグマでの実例から見てみる」としました。
「人の声」「エンジン音」「鈴の音」「ロケット花火の破裂音」という4つの音を同一ヒグマに向けた結果、「最初は忌避効果を感じられるものの、次第に忌避効果は無くなる(慣れや耐性といったところか)」という、ヒグマの学習能力の高さを伺い知ることができたのです。
刺激が伴うカウンターアソールト等のようなヒグマスプレーの携行が、やはり有効なのでしょうね。
ヒグマスプレーを適切に使用し、命を落とした方の報告は今のところなさそうですし。
ヒグマが居る場所へ遊びに行くなら、音を過信せず「ヒグマスプレーの携行が最低限のマナー」と個人的にはしたいと思います。
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